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2019年12月 9日 (月)

第55話 奈良・中西遺跡の弥生時代の水田跡は、「砂鉄水簸(すいひ)」の施設跡か?

 奈良県御所市の中西遺跡で弥生時代前期(2500~2400年前)の水田跡が見つかりました。周辺の遺跡を含めると国内最大規模になるようです。
 灌漑用の水路はなく、ゆるやかな傾斜を利用し、高さ2、3センチの畔(あぜ)を越え全区画に水を入れていたようです。1区画は9平方メートル、4畳半ほどの小さな区画が整然と並んでいます。

 
 稲作を行う私は、以前から弥生時代の小さな区画が気になっていました。
 ネズミの巣穴やひび割れで漏水しないよう畔に泥を付けたり、害虫の棲み家になる雑草を何度も刈り取ったりと、畔の管理はとても手を取られます。また、わずかな幅とはいえ、畔の分は作付面積が少なくなります。
 水平面を確保するため小さな区画にしたようですが、棚田のような高低差もないことから、等高線に沿って区画を倍に拡げても、水面からでた土をならせば、水平面の確保はできたと思います。
 さらに中西遺跡の水田跡には用水路がない上、畔の高さが、わずか2、3センチということに疑問をいだきました。 
 3センチでは、上段の稲が水を吸い上げ、下段の田は干上がり、成長期に十分な水分が行き渡りません。同時代の福岡市・板付遺跡のように灌漑用の畔の高さは15センチから30センチは必要だと思います。

 ところで皆さんは「砂鉄水簸(すいひ)」という用語をご存じですか。
 水簸とは、比重により水中での沈降速度が異なることを利用して、底に沈んだ重い粒子を取り出す選鉱方法で、砂金の採取などに用いられます。
 柴田弘武氏の『産鉄族オオ氏』(2008年 崙書房出版)に、「田」を稲をつくるための水田ではなく、鉄をつくるための「砂鉄水簸(すいひ)」の設備と考える吉野裕氏の『風土記世界と鉄王神話』(1972年 三一書房)に記された説が紹介されています。
 砂鉄水簸の説明がなく、どのような設備か分からなかったのですが、中西遺跡の水田跡が狭い区画で、さらに畔が低いことから、このような施設が「砂鉄水簸」ではないかと感じました。 

 私は、縄文海進の数千年の間に、海岸線や湖の汀、河川の合流地や湾曲地に堆積した大量の砂鉄を、弥生時代の海退により採掘できるようになったのではないかと考えています。
 奈良盆地が大きな湖だった太古、中西遺跡あたりは葛城川が流れ込む汀で、大量の砂鉄が堆積し、弥生時代になり湖が干上がると、かつての湖畔の砂浜に黒い砂鉄の帯が姿を現したと想像します。
 ゆるやかな傾斜に築かれた砂鉄水簸のための区画に、広範囲から採掘した砂鉄を含む砂を撹拌しながら流し込み、沈殿した砂鉄を採取したのではないでしょうか。狭い区画は、砂鉄の産出量を計る枡で、天日により水分を蒸発させるため低い畔にしたと考えます。

 砂鉄を掘り尽くした技術集団は、砂鉄水簸跡の区画を広げ、畔を高くし水田として利用できるよう整備し、次の採掘地を求め列島各地へ移動したのでしょう。水田を整備することで好意的に受け入れられ、弥生時代の稲作は各地に伝播したのかもしれません。
 中西遺跡の水田跡も、良田であれば後生に再整備され活用されたはずです。狭い区画のまま残されたのは、土に含まれる鉄分、いわゆる金気(かねけ)が多く、稲作に適さないことから放置されたのではないでしょうか。洪水による砂層が見つかっているようですが、砂鉄水簸に伴う残土ということはないでしょうか。

 奈良・中西遺跡の弥生時代の水田跡は、国内最大規模の「砂鉄水簸」の施設跡なのかもしれません。

(但馬二千年桂 Tajima Nisennen Katsura)

但馬二千年桂 古代史 目次 コチラ

参考図書

柴田弘武 著『産鉄族オオ氏』(2008年 崙書房出版)


 

吉野 裕 著『風土記世界と鉄王神話』(1972年 三一書房)

 

 

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