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2012年6月19日 (火)

第5話 樹齢2千年の桂が日本の製鉄の歴史を変えるかもしれない。

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 糸井の大カツラは、国の天然記念物であることや樹齢が2千年であることから自然に生えたものと思われるでしょう。しかし、2千年前に植えられたとしたら、日本の製鉄の歴史を塗り替えるかもしれません。

 島根県安木市のホームページに、西へ行き人々に鉄の製法を教えようとシラサギにのって播磨の国からやってきた金屋子神が、カツラの木に降り立ったことから、たたら場には必ず金屋子神がまつられ、カツラの木が植えられたという話が紹介されています。
 

また、日本書紀の葦原中国の平定の条には、「高皇産霊尊(たかみむすひのみこと)が遣わしたキジが天稚彦(あめわかひこ)の門の前にたっている神聖なカツラの木の梢にとまった。
 『山城国風土記』逸文には、ツクヨミがウケモチを訪ねたとき、神聖な桂の樹に降り立った。そこで土地を桂の里(京都市西京区桂)と名づけたと、いずれも桂は神聖な木として紹介されています。

さらに、浅井壮一郎氏の『古代製鉄物語』(2008年8月彩流社)には、小片にしたカツラの生木をルツボに入れ、生木から発生するメタンガス、一酸化炭素を還元剤として使用し、(ふいご)も小規模で移転が容易な低温でできる古代インドの製鉄技術が紹介されています。

糸井の大カツラが生えているところは、古代の鉄の産地、鉄鈷(かなとこ)山や床尾山の登山口にあたること、製鉄の際の燃料となる薪が豊富なことから、周辺や糸井川の河口で採取した砂鉄をこの場所まで運んで製品を作っていたのかもしれません。

ところで、トルコのカマン・カレホユック遺跡で出土した紀元前22世紀ごろの鋼は最古の鉄製品とされています。

豊岡市出石町の入佐山(いるさやま)3号墳で被葬者の頭部付近から150グラムの砂鉄が見つかったことにより、築造された4世紀後半に小規模な製鉄が行われていた可能性も指摘されていますが、国内で本格的に製鉄が始まったのは6世紀後半とされています。

この程、国史跡に指定されることになった弥生時代後期(1世紀初め~3世紀初め頃)の国内最大級の鉄器生産集落「五斗長垣内(ごっさかいと)遺跡(兵庫県淡路市市黒谷)には、1世紀後半に造られた12棟に鍛冶炉の遺構があり、鉄器工房とみられることなどから、朝鮮半島から鉄の原料を瀬戸内海経由で輸入し、製品化する拠点だったのではないかと考えられています。

鉄は農機具だけでなく武器にもなります。原子力兵器のように流出がきびしく管理されていたのではないでしょうか。五斗長垣内遺跡の鉄素材が半島から運ばれてきたとすると、当時は国境の概念が希薄で交流が盛んであったのかもしれません。

往路、鉄ののべ板を五斗長垣内(ごっさかいと)集落に運び、復路、原材料である砂鉄を半島まで運んでいたのでしょうか。

鉄に関する技術はきびしく管理される性質のものであるとは言え、海上の文化の伝播は想像以上に早かったのではないでしょうか。

 但馬や播磨では、早くから伝わった簡易な製鉄方法で鉄のべ板を生産し、河川や海を船で運搬していたのかもしれません。

淡路島に拠点があるのは、分業が進んだことと、但馬や播磨は雨や霧が多く湿気により、製品の鉄の劣化が進みやすいこと、さらに全方位から運搬が可能なことに加え、略奪に対する防備が容易であったからかもしれません。

鉄はさびやすく、簡易な製鉄跡は残っていないかもしれません。2千年前、糸井川河口の地、耳田や白黒で良質の砂鉄を採取した太耳は、当時は、ひこばえも生えず、一本立ちであった「糸井のカツラ」の生の破片を使用し、低温で鉄製品を生産していたのではないでしょうか。粒子が細かく丸みを帯びた砂鉄は、低温でも質の良い製品を生み出したのかもしれません。

太耳の子孫が、播磨へ、さらにその子孫が出雲へ移動した際、カツラを還元剤として使用しなくなっていたかもしれませんが、カツラは神聖な木として、各地の鉱山に植えられたのでしょうか

雨の多い但馬には、樹齢1千年の瀞川平(とろかわだいら)のカツラをはじめ、樹齢500年の兎和野の大カツラなど多くのカツラが今も静かに時を刻んでいます。

但馬の森で、カツラの巨木の声に耳を傾けてみてください。風で葉のすれる音しか聞こえませんか。何度か通っているうちに、古墳の出土品以上に多くのことを語りかけてくれるかもしれません。

HP「但馬ニ千年桂」カツラの木と砂鉄はコチラ  

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